目のしくみと働き

目の構造と各部位の働き

私たちの目は、眼球と視神経、そして眼瞼(まぶた)や涙腺のような眼球付属器から成り立っています。眼球は眼窩(がんか)という骨のくぼみの中に納まっていて、視神経で脳に連結しています。眼球の大きさは成人で直径約24mmのほぼ球型をしています。

各部位のしくみと働きの図

ものが見えるしくみ

目はカメラにそっくり

目はカメラとよく似た構造で、ものの形や色を光の情報として取り入れています。
例えば角膜は光を屈折させるレンズの前玉、虹彩は光の量を調節する絞り、水晶体は焦点をフィルムに合わせるレンズの後玉、そして網膜は被写体をうつすフィルムと同じ働きをしています。そして下の図を見てもわかるように、フィルム上にうつる像も網膜にうつる像も上下左右が逆さまになっています。
フィルムの場合は反転させることにより正しい方向にしますが、目の場合は脳が逆さまになった像を正常とみなすように慣らされているので、正しい方向で見えるように感じます。

目は両目でひとつを見ています

人間は二つの目をもっていますが、私たちは普段目が二つあることを意識しないでまるで一つの目で見ているように感じています。これは、それぞれの目で受けた映像を脳でまとめて一つの新しい映像としているからです。この働きのことを両眼視(りょうがんし)といいます。この両眼視の働きのおかげで、私たちは物体を立体的に見たり、奥行きや遠近感を感じることができるのです。 両眼視がうまく行われるためには、両目ともに視力に問題がなく、視線にズレがないことが大切です。

視力

視力とは、注意して見ようとするものをどれだけ細かいものまで見分けられるかという能力のことです。私たちがいつも視力と呼んでいるものは、いわゆる中心視力をさし、網膜のうちでも中心窩で見たもっともよく見える視力のことです。
普通、視力検査には「ランドルト環」と呼ばれる1カ所に切れ目のある輪をたくさん並べた「標準視力検査表」がよく使われています。視力の測り方は、5m離れた位置からランドルト環の1.5mmの切れ目が見分けられたときを基準として「視力1.0」とし、ランドルト環が5mの半分の2.5mに近づかないと見えない場合を「視力0.5」、逆に1.2倍後ろに下がっても見える場合は「視力1.2」となります。実際には距離を変えながら検査するのは難しいので、図のように、ランドルト環の大きさを変えて(「視角」を利用して)検査します。

屈折異常について

近視、遠視、乱視といった目の状態を総称して屈折異常と呼びます。屈折異常は調節を休ませたときに、無限に遠いところから目に入ってくる光線が像を結ぶ位置によって分類されます。

正視

目の調節を休めたときに、遠方からの光線が網膜上に像を結ぶ、屈折異常のない状態を正視といいます。

近視

目の調節を休めたときに、遠方からの光線が網膜の手前で像を結んでしまう状態を近視といいます。眼球の前後径(眼軸)が長いためにおこる「軸性近視」と角膜や水晶体の光を屈折する力が強いためおこる「屈折性近視」があります。大半の近視は生まれつきではなく、だいたい小・中学生の頃に発生し、20歳ぐらいで進行が止まります。裸眼視力は0.1以下になることもありますが、凹レンズで正常の視力まで矯正できます。

遠視

目の調節を休めたときに、遠方からの光線が網膜の後ろで像を結んでしまうため、網膜にうつる像がぼけてしまう状態を遠視といいます。眼球の前後径(眼軸)が短いためにおこる「軸性遠視」と角膜や水晶体の光を屈折する力が弱いためおこる「屈折性遠視」があります。凸レンズで網膜上に像を結ばせることで矯正します。

乱視

乱視は、主に角膜や水晶体の湾曲が正しい球面になっていないために起こります。そのため外から入ってくる光の方向によって、目の中で焦点の結ぶ位置が違ってきます。乱視には角膜(時には水晶体)がたまご型をした正乱視と病気やケガによりできた角膜の不規則な凹凸により起こる不正乱視に大別されます。正乱視は円柱レンズによって矯正できますが、不正乱視はメガネではよい視力が得られないため、主にコンタクトレンズにより矯正が行われます。また乱視は近視や遠視と一緒に発生することもあります。